新宿区の旧耐震マンションは売却できる?査定のポイントと売り方を解説
2026.10.29
新宿区の四谷や市谷などには、旧耐震基準で建てられたマンションが今も残っています。売却を考えると、「買い手がつくのか」「査定額が大きく下がるのではないか」と不安を感じる方も少なくありません。耐震基準は買主の住宅ローンや税制優遇に関わるため、仕組みを知らずに売り出すと、価格設定を誤るおそれがあります。この記事では、新宿区で旧耐震マンションの売却を考えている方に向けて、査定のポイントと売り方を整理します。

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旧耐震マンションは売却できる?まず押さえたい基礎知識
結論からいえば、旧耐震のマンションでも売却はできます。ただし、耐震基準の違いは買主が使える住宅ローンや税制優遇に影響するため、売主も基本的な仕組みを押さえておく必要があります。
旧耐震と新耐震の違い|判断の基準は建築確認日
耐震基準は、1981年(昭和56年)6月1日に施行された建築基準法の改正で大きく見直されました。この日以降の基準を「新耐震基準」、それより前の基準を「旧耐震基準」と呼びます。旧耐震基準は震度5強程度の揺れで倒壊しないことを目安としていたのに対し、新耐震基準は震度6強から7程度の大地震でも倒壊・崩壊しない水準を求めています。
どちらに当たるかは、竣工日ではなく建築確認日で判断します。マンションは建築確認から完成まで1〜2年かかることもあるため、1982年や1983年に完成した物件でも、旧耐震基準で設計されている場合があります。
建築確認日は、確認済証や購入時の重要事項説明書で確かめられます。書類が手元にない場合は管理会社に問い合わせるほか、区役所で建築確認の記録(台帳記載事項証明書など)を取得できることもあります。
なお、旧耐震だからといって、耐震性が不足しているとは限りません。耐震診断で現行の基準を満たすと確認された建物もあります。この点は次の章で取り上げます。
住宅ローン控除・フラット35での扱い|買主の資金計画への影響
売主にとって耐震基準が重要なのは、買主の資金計画に直結するためです。耐震性の要件を満たさない物件は住宅ローン控除やフラット35を使いにくく、購入を検討できる人の幅が狭まります。主な制度での扱いは次のとおりです。
| 制度 | 耐震性を満たす目安 | 目安に当たらない場合 |
|---|---|---|
| 住宅ローン控除 | 1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅 | 耐震基準適合証明書などで、耐震基準を満たすことの証明が必要 |
| フラット35 | 建築確認日が1981年6月1日以降(確認できない場合は、新築年月日が1983年4月1日以降) | 住宅金融支援機構が定める耐震性の基準に適合しているかの確認が必要 |
| 民間の住宅ローン | 金融機関ごとに異なる | 担保評価が低く見られ、借入額や審査に影響することがある |
表のとおり、制度によって基準となる日付が異なります。たとえば建築確認が1981年5月以前でも、1982年以降に完成した物件であれば、住宅ローン控除では耐震性の要件を満たすものとして扱われます。一方、フラット35は建築確認日が基準になるため、同じ物件でも別途確認が必要になることがあります。
耐震基準適合証明書は、マンションの場合、建物全体の耐震性をもとに判断されます。住戸の所有者が単独で取得するのは難しく、管理組合の耐震診断で基準を満たすと確認された建物や、耐震改修を終えた建物でなければ発行されないのが一般的です。
制度の要件は税制改正などで変わることがあります。個別の適用可否は、税務署や税理士、金融機関に確認してください。
売却できる理由|買主が重視する立地と管理
旧耐震のマンションでも、実際に売買は行われています。購入を検討するのは、主に次のような買主です。
- 立地を優先する人:新耐震の物件より価格が抑えめな分、希望のエリアで予算に合う住まいを探せる
- リノベーションを前提とする人:内装を一新するつもりで、物件価格を抑えたい
- 現金で購入する人:住宅ローンや税制優遇を前提とせず、立地や価格で判断する
管理の状態も、買主の判断を大きく左右します。修繕が計画どおりに行われ、修繕積立金が確保されているマンションは、築年数が古くても安心材料になります。
ただし、同じ条件の新耐震物件と比べると価格は低めになりやすく、買主が限られる分、売却に時間がかかることもあります。どの点が査定額に影響するのかを、次の章で確認していきます。
旧耐震マンションの査定で見られるポイント
旧耐震マンションの査定では、立地や室内の状態といった通常の項目に加えて、耐震性、管理の状態、建替えや再生の見通しが価格を左右します。室内や共用部分の一般的なチェック項目は、「マンション売却の訪問査定では何をする?」で紹介しています。
耐震診断・耐震改修の実施状況
まず確認されるのが、建物が耐震診断を受けているかどうかです。マンションの耐震診断は建物全体の構造を調べるもので、実施するかどうかは管理組合が決めます。
診断の結果は、構造耐震指標(Is値)などで示されます。国の基準では、評価は次の3段階に分かれます。
| Is値 | 評価 |
|---|---|
| 0.6以上 | 地震で倒壊・崩壊する危険性が低い |
| 0.3以上0.6未満 | 倒壊・崩壊する危険性がある |
| 0.3未満 | 倒壊・崩壊する危険性が高い |
Is値0.6以上の水準を満たす建物や、耐震改修によって満たした建物は、耐震基準適合証明書を取得できる可能性があります。買主が住宅ローン控除などを使える見込みが立てば、査定でもプラスに働きやすくなります。
一方、診断を受けていない建物は、耐震性が分からない状態として評価されます。診断で基準を下回った場合も、改修の計画があるかどうかで買主の受け止め方は変わります。たとえば「Is値は0.4だが、管理組合が補強設計を進めており、数年後に改修工事を予定している」といった状況であれば、将来の見通しを示す材料になります。
売買の際の重要事項説明では、旧耐震の建物について耐震診断の記録があるかを調べ、記録があればその内容を説明することとされています。診断結果はいずれ買主に伝わるため、査定の段階から担当者に共有しておくと、価格の根拠がぶれにくくなります。
管理状況と修繕積立金の水準
旧耐震のマンションはいずれも築40年を超えており、管理の差が建物の状態にはっきり表れます。査定で確認されるのは、主に次のような点です。
- 大規模修繕の履歴:外壁補修や屋上防水などの工事が周期的に行われているか
- 設備の更新状況:給排水管やエレベーター、電気設備が更新されているか
- 修繕積立金の残高:長期修繕計画に対して不足していないか、一時金の予定はないか
- 管理組合の運営:総会が定期的に開かれ、議事録が残っているか
修繕積立金は、金額が低いほど良いとは限りません。月々の負担が軽くても、残高が計画に対して不足していれば、近いうちに値上げや一時金の徴収が必要になります。1戸あたり数十万円の一時金が見込まれる場合、買主はその負担を差し引いて価格を考えるでしょう。
2022年に始まった管理計画認定制度で認定を受けているマンションは、管理が一定の基準を満たしていることを客観的に示せます。
建替え・再生の検討状況
管理組合で建替えや再生の検討が進んでいるかどうかも、査定に影響します。2026年4月に施行された改正区分所有法では、マンションの再生に関する決議の要件が見直されました。
| 主な改正内容 | ポイント |
|---|---|
| 建替え決議の要件 | 原則は5分の4以上のまま。耐震性の不足などの事由がある場合は4分の3以上に緩和 |
| 新しい再生の方法 | 建物・敷地の一括売却や取壊し、一棟リノベーションを、建替えと同じ多数決で行えるように |
| 所在不明の区分所有者 | 裁判所の決定を経て、決議の母数から除外できる |
耐震性が不足すると判断された旧耐震マンションは、要件緩和の対象になり得ます。
査定への影響は、検討の段階によって異なります。建替えや一括売却の計画が具体的に進んでいれば、将来の資産価値への期待から買主の関心が高まることがあります。一方、建替えでは区分所有者に費用負担が生じるケースも多く、勉強会を始めたばかりの段階では価格に織り込みにくいのが実情です。
検討の状況は、総会の議事録や管理組合からの案内で確かめられます。決議の効力や権利関係など法的な判断が必要な場合は、弁護士やマンション管理士に相談してください。
新宿区の旧耐震マンション売却で知っておきたい地域の事情
新宿区の旧耐震マンションは、立地の強さに加えて、区や東京都の制度とも関わりがあります。売却前に押さえておきたい地域の事情を3つ紹介します。
都心立地の評価|土地の持分と建替えへの期待
マンションの価格は、建物と土地の持分で構成されます。築年数が古くなるほど建物部分の評価は下がるため、旧耐震のマンションでは相対的に土地の持分の比重が大きくなります。新宿区は都心の中でも地価が高いエリアで、この点が価格の下支えになりやすいといえます。
四谷や市谷、新宿御苑の周辺には、1970年代に分譲されたマンションが点在しています。駅に近く住環境も落ち着いたエリアでは、旧耐震であっても立地を理由に選ばれることがあります。
建替えや一括売却を検討する場合も、土地の価値が高いほど事業として成り立ちやすいとされます。ただし、建設当時より容積率などの規制が厳しくなり、現在のルールでは同じ規模の建物を建てられない「既存不適格」のマンションもあります。その場合、建替え後の住戸面積が減ったり費用負担が増えたりするため、土地の価値だけでは判断できません。
エリアごとの相場は、「新宿区のマンション売却相場は?」「四谷エリアの不動産を高く売るには?」で紹介しています。
新宿区の耐震化支援|管理組合が使える無料診断と助成
新宿区では、旧耐震の分譲マンションを対象に、耐震化を支援する制度を設けています。主な内容は次のとおりです。
| 支援の内容 | 概要 |
|---|---|
| 耐震アドバイザー派遣・簡易耐震診断 | 無料。診断の必要性や合意形成についての助言、図面をもとにした簡易な診断 |
| 耐震診断・補強設計の助成 | 費用の3分の2以内(それぞれ上限200万円) |
| 耐震改修工事の助成 | 工事費の3分の1(建物の規模などの要件や、面積に応じた単価・上限あり) |
対象は、1981年5月31日以前に着工した鉄筋コンクリート造などの建物で、申し込むのは管理組合です。区の制度では、建築確認日ではなく着工日が基準になります。要件や受付期間は年度ごとに定められているため、最新の内容は区のホームページで確認してください。
個人の売主が直接使う制度ではありませんが、管理組合が支援を活用して診断や改修を進めているかどうかは、査定の材料になります。
また、東京都が指定する特定緊急輸送道路に面し、倒壊すると道路をふさぐおそれがある旧耐震の建物は、条例で耐震診断が義務づけられ、その結果が公表されています。幹線道路沿いのマンションは、公表の対象かどうかを確認しておくとよいでしょう。
東京都の管理状況届出制度|1983年以前のマンションが対象
東京都では条例にもとづき、1983年(昭和58年)12月31日以前に新築された、居住部分が6戸以上の分譲マンションに管理状況の届出を義務づけています。届出は5年ごとに更新が必要です。
届出の対象は、旧耐震のマンションとほぼ重なります。届出が行われているかどうかは、管理組合が機能しているかを示すひとつの目安です。運営の状況を把握していない場合は、管理会社や理事会に届出の状況を確認しておくと、査定の際の説明に役立ちます。
旧耐震マンションを売却する方法と進め方
旧耐震マンションの売却では、買主の不安を減らす情報をそろえたうえで、売り方とタイミングを選ぶことが大切です。
耐震・管理に関する資料をそろえる
通常の売却書類に加えて、次の資料があると、建物の安全性や管理の状態を説明しやすくなります。
- 建築確認日が分かる書類:確認済証、購入時の重要事項説明書など
- 耐震診断の報告書:診断を受けている場合の結果と、改修計画の有無
- 長期修繕計画書と修繕履歴:大規模修繕や設備更新の実施時期
- 総会の議事録:直近数年分。建替えや耐震化の議論の有無が分かる
- 管理に関する重要事項調査報告書:管理会社が発行し、修繕積立金の残高などが記載される
診断の報告書や議事録は、管理会社や理事会に依頼すれば閲覧・取得できることが多い資料です。早めに手配しておくと、査定の精度が上がり、販売開始後の問い合わせにも答えやすくなります。必要書類の全体像は、「マンション売却の必要書類一覧」で確認できます。
仲介と買取を比較して売り方を決める
旧耐震マンションの売り方は、大きく仲介と買取に分かれます。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 相場に近い価格を目指せる | 仲介より低くなるのが一般的 |
| 売却までの期間 | 買主が見つかるまで数か月以上かかることもある | 条件が合えば短期間で現金化できる |
| 内覧の対応 | 必要 | 原則不要 |
| 契約不適合責任 | 負う場合がある(特約で範囲や期間を限定することが多い) | 免責とする契約が多い |
立地が良く管理状態も整っているマンションであれば、まずは仲介で相場に近い価格を目指すのが基本です。
一方、耐震診断で基準を大きく下回り改修の予定もない場合や、相続した物件を早く整理したい場合は、買取が選択肢になります。仲介で売り出し、一定期間で売れなければ買取に切り替える方法もあります。買取の流れは、「新宿区でマンション買取を依頼する流れとは?」で紹介しています。
建替えを待つか、今売るかを判断する
管理組合で建替えの検討が始まっていると、建替え後の住戸を得られるまで待つべきか迷う方もいます。判断の際は、次の点を比べてみてください。
- 検討の段階:勉強会の段階か、決議に向けて計画が具体化しているか
- 費用負担の見込み:建替え後の住戸を取得するために、追加の負担がどの程度必要か
- 期間と仮住まい:完成までには長い期間がかかり、その間は仮住まいが必要になる
- ご自身の予定:住み替えや相続の時期、資金計画との兼ね合い
建替えが実現すれば新しい住戸を得られる可能性がありますが、計画が途中で止まるケースもあります。反対に、今売れば将来の不確実性はなくなるものの、計画が進んだ後に評価が上がる可能性は手放すことになります。どちらが有利かは物件と個人の事情によって異なるため、計画の進み具合を確かめたうえで判断してください。売却時期の考え方は、「マンションの売り時は築何年?」も参考になります。
耐震性の告知と契約条件を確認する
売却の際は、耐震診断の結果や建物の不具合など、売主が把握している情報を買主に正しく伝えることが大切です。告知書(物件状況報告書)に記載し、重要事項説明とあわせて買主に伝わるようにします。
個人の売主の場合、契約不適合責任を負う期間や範囲を特約で限定したり、免責としたりする契約も一般的です。ただし、売主が知りながら告げなかった事実については、責任を免れられないとされています。診断結果を伏せると、かえって大きなトラブルにつながりかねません。
契約条件の決め方や告知すべき範囲に迷う場合は、不動産会社や弁護士などの専門家に相談してください。
まとめ|新宿区で旧耐震マンションの売却を検討している方へ
旧耐震のマンションでも、立地や管理の状態によっては十分に売却できます。耐震診断の結果や管理の資料をそろえ、制度上の扱いを踏まえて売り方を選ぶことが、納得のいく売却につながります。新宿不動産売却サポートは、囲い込みを一切行わず、査定価格の根拠や販売状況をすべて開示しています。新宿区で旧耐震マンションの売却をお考えの方は、無料査定またはLINE相談からお気軽にお問い合わせください。
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